宅建業免許の要件には大きく次の3つがあります。
会社の役員や個人事業主などが欠格事由に該当しないことや、所定の人数の専任の取引主任者を営業所ごとに置くことが求められます。
継続的に業務を行う事務所としての適格性を求められます。
不動産の取引は、経済的規模が大きいことから、消費者保護のため一定の財務的信用として営業保証金を供託するか、又は、保証協会に加入して弁済業務保証金分担金を納付します。
人的要件には次の2つがあります。
会社の役員や個人事業主等が欠格事由に該当しないこと(宅建業法第5条第1項)が必要です。
営業所ごとに従事者5名につき1名以上の専任の取引主任者を置きます。
会社の役員(監査役を含む)や個人事業主、支配人や営業所長といった政令の使用人が次の欠格事由に該当しないことが必要です(宅建業法第5条第1項)。
次の事由に該当する場合は5年間免許されません。
※執行猶予された場合は、その期間は欠格事由に該当します。
専任の取引主任者は、専任で、かつ、常勤であることが必要です。
専任の取引主任者は、業務として契約締結前の重要事項の説明をすることなど業務内容は通常の宅建取引主任者と同じですが、専任の取引主任者は、その営業所に常勤で専ら宅建業の取引主任者の業務に従事しなければなりません。
専任の取引主任者は、専らその事務所の宅建業の業務に従事しなければいけません。
他の業務も兼任するような場合には注意が必要です。
次のような事例では専任性がないとされます。
(同一法人で同一場所の場合、兼務できることはあります)
など
専任の取引主任者はその事務所に常勤であることが必要です。
その営業所の営業時間中は、その事務所で業務に従事しているということです。事務所から出てはいけないということではありません。
次のような場合は常勤性がないとされます。
など
その事務所で業務に従事する者5名につき1名以上の専任の取引主任者を置かなくていはいけません。
もし、専任の取引主任者が欠けることとなったときは、2週間以内に雇い入れる等の措置を取らなくてはいけません。
従事する人数をカウントする際の注意
従事する人数をカウントする際は、以下の点に注意しましょう。
宅建業専業の会社は、全ての役員が含まれます。総務や経理といった一般管理部門の者も含みます。
継続的な雇用関係があれば、正社員でなくてもパートタイマーや契約社員もカウントします。
兼業がある場合、宅建業務に従事する者はカウントします。総務や経理といった一般管理業務の者は兼業業務との業務量の比率によってカウントします。
会社の場合、役員であっても非常勤役員や監査役はカウントしません。
宅建業の事務所は、宅建業に関する契約を締結する権限を有する使用人がいる場所で、継続的に業務を行うことができる施設を有しているところになります。契約を締結する権限を有する使用人には通常は代表者が該当します。支店長や営業所長なども権限を有する者になります(政令使用人)。
宅建業の事務所としての適格性が求められています。営業活動の場所として、継続的に使用できるものである必要があります。一般的に見て事務所として認識される程度の形態を備えたものであることが求められます。
キーワードとしては、独立性と継続性です。
会社や個人事業として、事務所の賃貸契約を締結する場合や、申請者名義で所有する物件を事務所にする場合は、問題になるケースは少ないですが、個人事業で自宅の一室を事務所にする場合は要注意です。
事務所としての適格性を認められないケース
→継続性があるとはいえないためです。
→壁や固定式パーティションで仕切られ、他の事務所の一部を通らずに直接出入りできる等、独立性が確保されていれば、認められるケースもあります。この場合、賃貸契約書や使用承諾書を追加で取り交わすことが必要になってきます。
→自宅のマンション1室を事務所とする場合は事務所としての適格性を認められないケースが多いです。
→(1)管理組合等から事務所としての使用が認められていて、(2)住居部分と区別され、独立性が確保できるのであれば、認められるケースもあります。ですが、建物の構造上、お客さんが出入りする場所として安定して使用することができないと判断されてしまうと認められません。
免許の通知があると、免許の日から3ヶ月以内に、(1)営業保証金を供託するか、(2)宅建業保証協会に加入して弁済業務保証金分担金を納付するかしなければいけません。供託や納付をしなければ、免許は取り消されます。
営業保証金の額は、本店だけであれば1,000万円。従たる事務所があれば1事務所ごとに500万円追加となります。
主たる事務所 1,000万円
従たる事務所 500万円
供託する場所は、主たる事務所の管轄の供託所です。法務局本局で取り扱っています。支局では取り扱っていないこともあるので、確認しましょう。
法務局の管轄 http://houmukyoku.moj.go.jp/
供託時に必要なもの
・供託物(現金・国債などの有価証券)
・申請書の捺印に使用した印鑑
・免許の通知書
・その他供託所の求めるもの(法人の場合は資格証明書、代理人の場合は委任状)
営業保証金の供託が済んだら、都道府県担当課に免許証の受取りに行きます。
その際持参するものは次のとおりです。
免許証を受け取ったら、業者票と報酬額票を事務所に掲示して、業務を開始します。
営業保証金を供託する代わりに、宅建業保証協会に入会し弁済業務保証金分担金を納付することができます。
宅建業保証協会に加入するには、次のいずれかに加入します。
全宅とか全宅連、宅建協会と呼ばれています。
全日と呼ばれています。
いずれの団体も加入に際して、弁済業務保証金分担金以外に入会金や会費等の加入費用が必要です。
協会への加入手続きの書類は、宅建業の免許申請よりも面倒だったりします。免許申請と併せてご依頼されることをお勧めします。
弁済業務保証金分担金の額は次のとおりです。
主たる事務所 60万円
従たる事務所 30万円
ただし、協会に加入するのに入会金や会費がかかります。
全宅(ハトのマーク)
宅建協会 入会金 600,000円
保証協会 入会金 200,000円
弁済業務保証金 600,000円
講座受講料 8,400円
——————————–
入会時 1,408,400円
月会費 月5,000円
全日(ウサギのマーク)
全日 入会金 150,000円
入会協力金 340,000円
年会費 54,000円
保証協会 入会金 130,000円
年会費 15,000円
弁済業務分担金 600,000円
近畿流通センター
入会協力金 50,000円
会費 18,000円
———————————
総合計 1,357,000円
上記以外にも・・・
上記以外にも、政治連盟(10万~20万)や支部への入会金などもあるようです。
また、情報システムやレインズの入会金や会費もあります。
地域や支部によっても異なりますので、加入するときは確認してください。
加入する支部によっては、紹介者が必要だというところもあります。
どちらの団体でもレインズは使えますし、大きな違いはありません。
個人的な印象ですが、宅建業者の8割くらいが加入していることもあって全宅(ハト)の方が中小企業でも大き目のところが多く、全日(ウサギ)は小規模なところが多いイメージがあります。入会に関していうと、一般に、全日(ウサギ)の方が安く、全宅(ハト)の方が早いと言われていますが、これも入会する支部とタイミングによるように思います。
弁済業務保証金分担金の納付が済んだら、都道府県担当課に免許証の受取りに行きます。
その際持参するものは次のとおりです。
免許を受け取ったら、業者票と報酬額票を事務所に掲示して、業務を開始します。